ヘッダーをスキップ

ヘッダーエリア


コンテンツエリア

里山エッセイ



薪を割る

zomeki002032.jpg

薪割り用の斧を手に入れようと思った。

カタログを見て、

工芸品の味わいと、何よりデザインの良さから

スウェーデンのグレンスフォシュの大型斧に決めた。

数日して斧が届いた。

重い。

建築アトリエには何とも不似合いだ。

私に使いこなせるだろうか。

「薪は斧の重さで割るもの、あなたの身長なら最低これぐらいでなくちゃ」

と言った薪ストーブ屋のSさんの

筋肉質の体と愛嬌のある顔が

うらめしく思い出される。

あらためて斧を手に取る。

皮のケースを外すとスウェーデン鋼の鋭い刃先が光る。

斧頭にこの刃を打った職人のイニシャルが刻印されている。

日本の鉋(かんな)や小刀と同じだ。

そういえば、”小信”作の小刀を求めて

東京・上野の刃物屋を訪ねたことがあったよなぁ。

柄はヒッコリー材でできていて、

握りのところで微妙に曲がり、しっくりと手になじむ。

さきほどまでの不安をすっかり忘れ、

今はもうこの斧を使ってみたくて仕方がない。

早速、山に行く。

2年前に山荘を建てた場所にあった木を切り倒し、

丸太にして積み上げている。

程よく乾いた丸太を取り出し立てる。

薪割り台は、5年前の吉野川源流の森の伐採ツアーで切り出した

90年生の桧(ひのき)の根っこだ。

バランスのいい斧だ。

初心者の私でも気持ちよく振れる。

山で握ってみるとそれほど重く感じないのが不思議だ。

しかし芯を外すと薪が思わぬ方向へ飛んでいく。

油断は禁物。

ここだと思うポイントに意識を集中させ斧を振り下ろす。

きれいに二つに割かれた薪が放物線を描く。

斧を台に突き立てたまま一服した後、息子と交代する。

まだまだ腰の使い方は父さんの方が上だな、などといいながら

幾つかの薪の山をつくった。

11月の山の空気はもう冷たい。

しかし丸太を運び、薪を割り積み上げる間に体がしっかり温まってくる。

薪ストーブは何回も人を温めてくれるというが、

本当にその通りだ。

小ナラやモミジが色鮮やかに染まる深秋の山に

”スコーン”という乾いた薪割りの音が響きわたった。

建築家 野口政司  (徳島新聞 夕刊 11月21日付けより)

コメント

fumicaさん
コラムにぴったりの挿絵、どうもありがとう。
本物より迫力ありますよ。

「薪を割る」。のだめ氏のような、格調高い斧でもなく、格調高い姿でもなく、だから世界の違う薪割りなのだが、私にもある薪割りの経験が懐かしい。体の小さい私には、とても大変な作業だったが、薪は生活必需品だったから、誰かが割らねばならなかった。
長女である私の仕事の一つ、家族で助け合うことの大切さを父は教えてくれたと思う。
 炊事もお風呂も薪に頼った往時の生活、里山が生きていた時代の経験を私たちは思い起こしたい。

コロボックルさんが薪を割ったのですか。

恥ずかしいはなしですが、薪割りといえば、昔見たTVの中の、
”大草原のちいさな家のとうさん”しか知りませんでした。

もっと聞かせてほしいです。
私たちの世代は、何も知らずにきてしまいました。

昔、といっても40年ほど前のことですが、
祖父母の家は、風呂と便所が離れにあって
風呂の追い炊きは、外で火をくべていました。
寒い冬でも同じようにしていました。
それほど寒いと思った記憶がありません。
火を焚いていると温かく感じたのでしょうか。
家族が入り終わると、近所の人がもらい湯にやってきます。
貧しくてもお互い助け合って生活していたんですね。
どの家庭にも内風呂ができるようになってから、
となり近所のおつきあいが希薄になったように思います。

コメントを投稿
登録する


▲ページのトップへ戻る


サイドナビゲーションエリア

SATOYAMA SNS 里山を語るコミュニティ

ログインe-mailアドレス、パスワードを入力

カテゴリー

バックナンバー

最近の記事

最近のコメント

RSS 2.0 ATOM 0.3

お問い合わせ

NPO法人 里山の風景をつくる会
〒770-8055
徳島市山城町東浜傍示28-53
TEL:088-655-1616
FAX:088-655-1632
E-mailinfo@enjoy-satoyama.jp

▲ページのトップに戻る


フッターエリア


Copyright©2006 Meeting that makes scenery of hometown mountain.All Rights reserved.